■登山と山歩きについて
四姑娘山主峰6250mは、1981年7月に同志社大学隊が南東稜から初登頂しています。南壁からは広島山の会が1992年7月に初登頂しています。周辺に有る羊満台山5666mとプニュー山5413mは外国隊が登頂しています。最も一般的に登頂されるのは大姑娘山5025mで、海子溝の老牛園子3800mから6時間位歩いて登頂できます。途中4500m位でキャンプする事も出来ます。最近、固定ザイルを設置して二姑娘山5276mや三姑娘山5355mも登頂されるようになりました。他にも5000m以上の多くの山が有りますが、昨年から登山ラッシュが始まっています。
4800m位までの山腹には多くのヤク道や岩羊道が有り、大部分について容易に跡を辿れます。日隆の町から長坪溝や海子溝のBCまでの行程は歩いて半日~1日です。荷揚げには馬を使います(以前はヤクを使っていました)。日隆の町から双橋溝のBCまでの行程は自動車で1時間前後です。双橋溝では馬を使えません。
四姑娘山の山域には登山家にとって魅力的な山や岩壁が多く有ります。また山上の美しい海子や花畑を巡りながら、これらの山や岩壁を眺める山歩きは、四姑娘山における最高の楽しみ方の一つです
なおキャンピングされる場合はテントや炊飯器具を持参するようお薦めします。渓谷の中や山腹に多くの放牧小屋が有りますが自由に使えません。一部の小屋で宿泊や食事が可能ですが環境は良くありません。これらの小屋をご利用される場合は予め日隆で確認して下さい。
【海子溝 - Hai Zi Gou】
海子溝は四姑娘山主峰の南東側に広がる緩斜面の草地が多い渓谷で、特に野生植物が多い所です。山上には多くの海子が有り周囲の山々を映します。
*海子:日本語の湖沼に当たります。
鍋庄坪(gou zhuang ping) :
日隆から近く、四姑娘山主峰の南面を一望できる丘です。仏塔が有り、チベット族の宗教的な祭りが毎年開かれます。稜線を4100m位まで登ると、長坪溝の中流域を一望できます。
老牛園子(lao niu yuan zi:
大姑娘山や二姑娘山に登ったり、大海子や花海子や八角棚海子を歩いたりする時のBCです。大海子は四姑娘山最大の海子で、南側の海子山等を映します。花海子は沼が点在する湿地で、右岸から四姑娘山主峰の南東稜や南側の小溝氷河、三姑娘山の東壁が見えます。老牛園子の右岸上部を登ると、四姑娘山主峰や大姑娘山やプニュー溝の山々を映す八角棚海子が有ります。花海子から犀牛海子の方向にさらに足を伸ばすと密生した花畑が美しい大黄棚子が有り、右岸山上には大黄棚海子が有ります。
犀牛海子(xi niu hai zi):
四姑娘山主峰の北東壁を映す海子です。周辺に多種多様な花が咲きます。上犀牛海子からさらに登ると臥龍へ出る峠に出ます。初夏、暑さを逃れてヤクが峠を越えます。
双海子(shuang hai zi):
海子溝最奥に在る海子で、直下に大きな滝が有ります。さらに登って鞍部に出ると、谷底から高度差2500mで突き上げる四姑娘山主峰の北東壁の全貌が見えます。
行程と海抜高度の概略
*行程は徒歩による所要時間で短時間の休息時間を含みます
日隆3200m-1.5H→鍋庄坪3600m-2.5H→老牛園子3800m-1H→大海子3800m-0.5H→花海子3800m
花海子3800m-1H→大黄棚子3900m-1.5H→右溝の滝上4200m-0.5H→下犀牛海子4300m-0.5H→上犀牛海子4400m
右溝の滝上-2H→→双海子4600m
【長坪溝 - Chang Ping Gou】
長坪溝は四姑娘山主峰の西側に広がる急峻で森林が多い渓谷で、特にアルプス的な風景が素晴らしい所です。この渓谷には発達したU字谷が多く隆起したフィヨルドの様に見えます。山上には多くの海子が有り岩峰群を映します。
ラマ寺 :
日隆から自動車で5分の所に有るラマ寺跡が出発点です。長坪溝の西岸に沿って枯木灘まで桟道が有ります。枯木灘の手前で吊橋を渡り東岸へ移ります。
枯樹灘(gu shu tan) :
中州と水没淋が有ります。西岸に幾つもの滝が有ります。東岸に沿って木騾子へ至る道が有ります。途中の両河口から東岸のプニュー溝周辺の尖鋭な山々が見えます。プニュー溝源流には海子が有ります。
木騾子(mu luo zi) :
広い草地と沼が点在する湿地が有ります。四姑娘山主峰の北西壁を間近で仰ぎ見る事が出来ます。周辺を山歩きする時のBCです。周辺には羊岡子溝やプニュー東壁基部、源流に海子を持つチュイン溝やチュプー溝や小溝、氷河と臥龍へ出る峠が有る長溝、長坪溝が流れを東から南へ変える長坪崖穴が有ります。東岸沿いに卡子沟へ至る道が有ります。途中の羊満台溝を登ると氷床や海子が有り、臥龍へ出る峠も有ります。羊満台から四姑娘山主峰の北西壁や周辺の岩峰群を見渡せます。卡子沟出合いの直ぐ手前に、色爾登普山を映す広い湿地の広河原が有ります。
卡子沟(ka zi gou):
理県へ出る峠が有ります。卡子沟を登らずにさらに東岸沿いに進むと、西岸の倒溝出合いを経て溝尾に至ります。溝尾は長坪溝最
奥に在るカール地形の底で、直下に大きな滝が有ります。色爾登普山等の周囲の岩峰群を眺められます。
<行程と海抜高度の概略値>
日隆3200m-車5分→ラマ寺3400m-1H→枯木灘3600m-2.5H→木騾子3800m-1.5H→長坪崖穴3800m-1.5H→叉子溝出合い3900m-2H→溝尾4100m
【双橋溝 - Shuang Qiao Gou】
双橋溝は長坪溝の西隣に有る氷河起源の地形の渓谷で、自動車道路が走りアプローチが楽な所です。
人参果坪(ren cen guo ping):
6月に桜草が一面に咲きます。双橋溝の東岸に沿ってNianyubaまで桟道が有ります。
Nianyuba:中州と水没淋が有り、周囲の山々を映します。降雨が多い夏には湖が出来ます。
大草坪(da cao ping):
西岸の広大な草地斜面3800m~4300mで、斜面上部の草地が尽きる所に海子が有ります。海子の北側の丘から双橋溝上流の山々を眺められます。谷底から岩壁が聳え立つ尖子山5472m、巨大な城壁のような色爾登普山5592m(別名 野人峰)、下部に氷河を抱えた尖鋭なピークの阿妣山5694mや玉兎峰5578m等です。
<行程と海抜高度の概略値>
日隆3200m-車1H→登り口3700m-徒歩3H→大草坪海子4300m
鹿耳沖塘(lu er chong tang):
双橋溝の最奥に有るカール地形の底で、5000mを超える周囲の岩峰群を眺められます。理県へ抜ける2つのルートの分岐点でも有ります。
<行程と海抜高度の概略値>
日隆3200m-車1.5H→双橋溝の終点(紅杉林)3800m-徒歩1.5H→鹿耳沖塘4200m。
鍋庄坪から見る四姑娘山の主峰
四姑娘山主峰東北岸壁と犀牛海子